歯周病の原因
歯周病とは
歯周病は、歯周組織に発症する症患群の総称であり、その波及した範囲によって炎症状態が
・歯肉に限局している歯肉炎
・支持歯槽骨(歯を支えている骨)に影響が及んでいる歯周炎
・機能的修飾因子としての咬合性外傷
に大きく分けられます
一般的には歯を支える組織、つまり歯茎や骨に影響を及ぼす病気のことを指し、
おもにプラーク(歯垢)に含まれる細菌が原因で、歯茎の炎症や出血、さらには歯を支える骨の喪失を引き起こすことがあります
歯周病は歯を失う原因第1位です
早期発見・早期治療を行いましょう

歯周病の進み方
歯周病の分類
歯周病の分類は、歯周病学および歯周治療学の発展に伴って絶えず改変されています
以下では、専門的な分類ではなく大きく簡単に分類させています
正常な状態
正常な歯肉は、健康的であることが重要です
以下の特徴があります
1.色 :歯肉は淡いピンク色で健康的
2.形状:歯肉は引き締まっており、歯の周りに三角形を保っている
3.質感:表面はなだらかですが、所々にオレンジの皮のようにぶつぶつした凹みが見られることがある(スティプリング)
4.出血:ブラッシングやフロス使用時に出血はない
歯肉炎
歯肉炎は、炎症の波及が歯肉のみで、支持歯槽(歯を支えている骨)に及んでいない状態です
プラークが歯面に蓄積するすることで
1.色 :一部分、発赤(歯肉が腫れて赤くなっている)がある
2.形状:腫れが認められ、やや丸みを帯びる
3.質感:表面はなだらかで、正常時と変わらない場合が多い
4.出血:ブラッシングやフロス使用時にも出血することはない、もしくは血のにじみが認められる場合がある
この他にも、全身因子が関与して歯肉炎が起きている場合があります
例)思春期性歯肉炎、妊娠性歯肉炎。白血病性歯肉炎など
また、歯科治療に置いて金属やレジンなどの修復物や補綴物の辺縁に見られるアレルギー性の歯肉炎や歯ブラシの不適切な使用などによる物理的な刺激などによる外傷性歯肉炎などもあります
歯周炎
歯周炎は、炎症の影響が歯肉にとどまらず支持歯槽骨(歯を支えている骨)にまでおよび、歯槽骨の吸収がみられる状態をいいます
全ての歯肉炎が歯周炎に進行するわけではありませんが、歯周炎は歯肉炎の状態から進行した疾患であると言えます
歯周炎は発症・進行しますが、その進行の程度は細菌側と宿主側の因子のバランスによって決定されます
軽度歯周炎
軽度歯周炎は、歯周炎の初期段階であり歯肉の炎症がみられる状態です
この段階では、歯肉が赤く腫れ出血しやすくなることがあります
歯周ポケットの深さは3mm程度で、歯槽骨の破壊が起こっている状態になります
中等度歯周炎
中等度歯周炎は、歯周炎の中期段階であり軽度歯周炎より症状が顕著になってきます
歯槽骨がさらに溶かされることで、歯周ポケットの深さは4〜6mm程度まで広がります
歯に軽度なぐらつきがみられ、歯周ポケットから膿がでることもあります
また、膿により口臭を感じるようになります
重度歯周炎
重度歯周炎は、歯周炎の末期段階です
歯周ポケットは7mm以上となり、歯根に歯石が大量に付着している状態です
歯槽骨の吸収に伴って歯の傾斜・動揺・移動・喪失をきたします
指で押すだけで、出血や排膿が認められる場合もあります
この状態まで進行してしまうと食事が噛みにくいなど生活に支障が出てきますが、歯科治療においても歯を残すことが困難になっています
歯周病は感染病です
お口の状態や隣接している歯を考慮して抜歯を選択することもあります

↑イラスト図解の訂正
7mm以下ではなく正しくは7mm以上となります
咬合性外傷
噛み合わせが原因で歯や歯槽骨、顎関節などに問題を引き起こすことを咬合性外傷といいます
・不正咬合(悪い噛み合わせ)
・高さがあっていない噛み合わせ
・歯ぎしり、食いしばり
これらが咬合性外傷の主な要因です
症状としては、
・歯の痛み:特に咬合(噛み合わせた)時に痛みを感じることがある
・歯の動揺:歯がグラつくこともある
・顎の痛み:顎関節に負担がかかり痛みを感じることがあります
・歯の摩耗:歯の表面がすり減ることがあります
治療方法としては、
歯科医院にて、噛み合わせの調整や睡眠中の歯ぎしりによる負担軽減のためマウスピースを作ってもらい使用するなどが挙げられます
歯周病の予防方法
予防方法
歯周病予防の基本はプラークが歯に沈着しないことです
毎日の歯磨きはもちろんのこと、歯科医院での定期的なクリーニングが有効とされています
また、免疫力を高めるための生活習慣づくりや全身の健康管理も重要です
歯周病のセルフチェック
歯周病は自覚症状が出ている頃には、中等度〜重度になっていることも稀ではありません
日本臨床歯周病学会のサイトで出されているセルフチェックを参考に思い当てはまる症状があるか確認してみてくださいね
お口全体
1.口臭を指摘されたまたは、自分で気になる
2.朝起きたら口の中がネバネバする
3.歯磨き後に、毛先に血がついたりお口をすすいだお水に血が混じっている
歯肉の症状
1.歯肉が赤く腫れている
2.歯肉が下がり、歯が長くなった気がする
3.歯肉を押すと血や膿が出る
歯の症状
1.歯と歯の間に物が詰まりやすい
2.歯が浮いたような気がする
3.歯並びが変わった気がする
4.歯が揺れている気がする
判定
⚫︎チェックが1〜3個の場合
歯周病の可能性があるため、軽度のうちに治療を受けましょう
⚫︎チェックが4〜5個の場合
中等度以上に歯周病が進行している可能性があります
早期に歯周病の治療を受けましょう
⚫︎チェックがない場合
チェックがない場合でも無症状で歯周病が進行することがあるため1年に1回は歯科検診を受けましょう
まとめ
歯周病はお口の中の歯周病菌に感染して起こる感染症で、成人の約8割は歯周病にかかっていると言われています
歯周病は悪化すると恐ろしい病気で、全身疾患にも関連しています
自覚症状がなく進行してしまうため、正しい歯磨きや定期的な歯科医院の受診を心がけ、早期発見・早期治療に繋げましょう